6. 記憶の錯覚 人の記憶は確実なのか
錯覚の科学 ('14)
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6-1.記憶インプランテーションの仕組み
『偽りの記憶のメカニズム』:フォールスメモリを植え付けられた例
記憶インプランテーションの実験(ハイマンら):3回目の面接では約40%の参加者が経験していない出来事を事実として報告
記憶インプランテーションは個人の視覚的イメージの能力によっても影響を受ける。
リアリティ・モニタリング:現実に起こったことと想像上の出来事を区別する心の働き、ソースモニタリングの一種。
ソース・モニタリング:ある特定の記憶について、その記憶がいつどこでどのように得られたかという情報源についての記憶・認識
鮮明な視覚的イメージをもとに形成されてしまったフォールスメモリは現実のものとして受け入れやすくなる可能性(Schacter)
フォールスメモリは時間的、空間的に異なる文脈で起こった現実の出来事の断片から構成されるのかもしれない。
6-2. 記憶の仕組みと記憶の錯覚
記憶:記銘(memorization), 保持(retention), 想起(remembering)の3つの段階からなる心の働き
入力→符号化(encoding)→貯蔵(storage)→検索(retrieval)→出力
忘却:符号化された情報が検索できなくなる現象
情報の利用可能性の低下・消滅によるもの(availability)
情報のアクセス可能性の低下・消滅によるもの(accessibility)
DRMパラダイム(Deese-Roediger-McDermott paradigm) : 記銘単語のリストをできるだけたくさん思い出す時、提示されなかった単語が高い確率で想起される。
単語の符号化時に間接的な経験の符号化も繰り返されることで現実的な記憶として貯蔵検索されるのかもしれない
このように情報源が区別できなくなることもフォールスメモリの原因の一つであると考えられる
スキーマによる記憶の変容:スキーマに一致しない情報は忘却されたりスキーマに適合するように歪められたりすることが多い
誤情報効果:経験した出来事の記憶が後から接触する間違った情報によって影響を受けてしまうこと
フォールスメモリは誤情報効果による記憶の変容と類似しているが、単なる記憶の歪みとは言い難い劇的な変容があり、その想起に対して強い確信を持つという特徴がある。
記憶の変容+意識レベルの問題
6-3. 記憶の錯覚は何をもたらすのか?
バーンスタインらの研究:記憶インプランテーションの実験
成功:イチゴアイスクリームを食べた後で病気になった
失敗:チョコレートチップクッキーを食べて具合が悪くなった
日常的に頻繁に食べているお菓子は偽の情報に引っ張られなかった
フォールスメモリは日常生活に影響力を持つ(ロフタスら)
ある食べ物に対してネガティブな記憶を植え付けることで比較的長期に渡ってその消費量が低下することが示された